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病院の受診や予防注射をする際、嫌がって泣いてしまう子どもの対応に困った事はありませんか。
私も先日、5才になった子どもと行った耳鼻科で似たような状況になり、思わず看護師さんに視線を送った出来事がありました。
しかしこの時、「子ども本人に決めさせる」という姿勢を貫いたことで、意外にも良い結果が得られましたので、今回はその話です。
5才になった私の子どもは、花粉症のため定期的に耳鼻科に通っています。
今回、少し症状が強く出ていたこと、家族内にハウスダストやダニのアレルギーを持っている者もいるため、一度アレルギーの検査をして、必要であれば薬の内容を検討しましょうという話になりました。
そこで必要になってくるのが、採血によるアレルギーの確定診断です。
最後に採血したのは1年以上前なので、今回新たに判定した方が良いとのことでした。いつもどおり「お変わりないですね、ではまた薬を出しますので、この調子で続けていきましょう」と言われるだろうと軽い気持ちで受診したにもかかわらず、突然、採血をする運びとなりました。
私と先生の会話を聞いてみるみる顔が曇っていく子ども。
「え、注射?針?刺すの?嫌だ、怖い、痛い」と言って逃げようとしたのですが、なんとか採血するべく、看護師さんが説得しながら、腕を触って血管を探し始めました。
しかし何度言い聞かせても子どもが腕を縮めてしまい、私と看護師さんによる説得はそのまま10分以上続きました。
ここで私は、以前子育てに関するセミナーを受けたときに聞いた言葉を思い出しました。
「なにごとも、親が一方的に決めてはいけない。親がするべきことは、子どもにすべての選択肢を公平に示すこと。その上で本人に決めさせなければならない。親が勝手に決めたルールでは、子どもは納得していない。そして失敗したりうまくいかなかったりした時、それを親のせいにする。」
これだけ採血を拒否しているということは、強引に体を抑え込んだところできっと恨みを買うだけだ、子ども自身が採血の必要性を理解して納得することが先だ、と思った私は、看護師さんにお願いしてしばらく時間をもらうことに。
私は子どもを連れて一度病院の外に出て、採血について話し合うことにしました。なぜ採血が必要なのかを改めて説明するとともに、私が示したメリット・デメリットは次の通りです。
・どうしても嫌なら今回は採血をしなくても良い。その場合、次回は必ずやって欲しい。
・今回やっても次回にしても、採血時の痛みは変わらない。
・今回やればスッキリ、次回に持ち越すと、憂鬱な気持ちを引きずることになる。
・自分で結論を出すまで、いくらでも待つ。どうするかは自分で決めること。
・どうしても決められないなら、お母さんが決めても良いか?そこを決めること。
この時、私は「子どもに選択させる」を徹底しました。そして「決められない場合は、お母さんの言う通りにして。」ではなく、「それなら、お母さんが決めても良いか。お母さんの決めたことに従うかを決めて。」と最後まで自分で決断を下すように話を進めました。
また、そもそも採血で何をされるのかをきちんと理解していなかったようなので、採血の流れがわかる動画も見せてみました。
病院の外に出てからも、「えー、どうしよう」「えー、お母さんはどうしたらいいと思う?」とかれこれ40分以上悩み続けていた5才児。
けれども、しばらく無言になったかと思いきや、おもむろに「今日やる!」と言って自ら病院の中に戻っていきました。
そしてそこからは、さっきまでのウジウジした態度が嘘のようにサッと腕を出し、チクッとした時も「ちょっと痛いけど大丈夫」と言って、あっという間に採血は終了しました。
大人だって、バンジージャンプはすぐにできない
大人にも採血が嫌いな人はいると思いますが、決心するのに40分も時間がかかる人はさすがにいないでしょう。
しかし、バンジージャンプだったらどうでしょうか?いきなり橋の上に連れて行かれて、「さぁ飛び降りて!!今やらないなら、来月必ずやってもらうよ!」などと言われたら、すぐに決心できますか?
子どもにとって、今回の採血はこれと同じだったのではないかと思います。やろうかな、どうしようかな、やっぱり怖いな…という気持ちを何度も行ったり来たりしながら、少しずつ気持ちを固めていく。病院の外にいた40分間で、そんな心の葛藤をしていたのではないでしょうか。
これがもし、私が強引に腕も体も抑え込んでやらせていたとしたら、採血が終わってからも「痛かった、本当はやりたくなかった」などと不満を漏らしていたかもしれません。
まとめ
以前に受けたセミナーで「子どもに決めさせることが大切」と聞いた時は、十分理解して、納得したつもりでいました。
しかし、いざ子どもを目の前にすると、本人に選択権を委ねるというのは、親の忍耐力が必要だと感じました。
まだまだ続く先の長い子育て。親子ともども、成長していきたいものです。
この記事を書いた人
ライター 仙台りん